真夏のコートに立った瞬間から、じわりと体温が上がっていくのを感じたことはないでしょうか。テニスは屋外での運動時間が長く、しかもラリーの合間にも体を止めにくい競技です。「気合で乗り切る」「休み休みやれば大丈夫」という感覚のまま練習を続けてしまい、気づいたときには頭痛やめまいが出ていた、という話は部活動の現場でも珍しくありません。熱中症は根性や我慢強さとは関係のない、体温調節の仕組みが追いつかなくなることで起きる体の異常です。この記事では、まず熱中症がどう起きるのか、危険なサインをどう見分けるのかを整理したうえで、冷却タオル・携帯扇風機・塩分補給アイテムをどう選び、どう組み合わせて使えばよいかを具体的に紹介します。あわせて、実際に候補になりやすい4つのグッズも比較しました。
この記事でわかること
- テニスの「気合」で乗り切れない暑さがある
- 熱中症のサインは「なんとなく」で見逃されやすい
- 練習前にできる「暑さの厳しさ」を確認する習慣
- 冷やす部位と道具の考え方 — 表面を冷やす・風を当てる・内側から整える
- 水だけでは足りない理由 — 塩分・電解質補給の考え方
- 服装・日陰・練習時間の工夫 — グッズと合わせて効果を底上げする
最終更新:
テニスの練習におすすめの熱中症対策グッズ4選
ここからは実際の候補です。前提として、これらのグッズを使えば熱中症を防げる、という話ではありません。いずれも通販サイトの商品ページ上で仕様が確認できる、実在するメーカー・ブランドの商品から、役割が異なる4つを選びました。価格は記事作成時点の参考価格で、販売店やセール状況によって変動します。購入前に商品ページで最新の価格・在庫・カラーを確認してください。
4つを並べると、それぞれ役割が分かれているのが分かります。冷却タオルは体の表面を直接冷やす基本アイテム、ハンディファンは汗の蒸発を助けて涼しさを感じやすくするアイテム、塩分タブレットと経口補水液は体の内側から電解質バランスを整えるアイテムです。1つだけで熱中症対策を完結させようとせず、練習頻度や環境に合わせて組み合わせて使うのが現実的です。
初めて対策グッズをそろえるなら、まず冷却タオルと塩分タブレットの少量パックから始め、練習頻度が上がってきたらハンディファンや経口補水液のケース買いを検討する、という順番がコストの面でも無理がありません。部活動やサークルでまとめて用意する場合は、塩分タブレットのようなシェアしやすいアイテムから優先するのも一つの考え方です。
4つのうち、冷却タオルとハンディファンは「体感を快適にするグッズ」、塩分タブレットと経口補水液は「体の状態を整えるグッズ」という見方もできます。前者は毎回の練習で気持ちよく使えるかどうかが続けやすさを左右し、後者は普段より意識して量やタイミングを管理する必要があります。両方の性質を理解したうえで組み合わせると、単に道具を増やすだけでなく、状況に応じて使い分けられるようになります。
価格・仕様は記事作成時点の参考情報であり、販売店やセール状況によって変動します。またカラーやフレーバーは在庫状況により選べないことがあるため、購入前に必ず商品ページで最新情報を確認してください。
■ スペック比較表
| 商品 | アリビオ(Alivio) COOLCORE(クールコア)… | シロカ(siroca) ハンディファン SF-H631 … | カバヤ食品 塩分チャージタブレッツ 81g×48袋(1ケ… | 大塚製薬 経口補水液 OS-1(オーエスワン) 500m… |
|---|---|---|---|---|
| 参考価格 | 950円 | 2,508円 | 9,504円(48袋入り1ケース、目安) | 4,045円(目安) |
| サイズ | 約30cm×110cm | — | — | — |
| 素材 | ポリエステル100% | — | — | — |
| UVカット | UPF50+(商品ページ表示、目安) | — | — | — |
| 使い方 | 水に濡らして軽く絞り、振ってから使用 | — | — | — |
| カラー展開 | ピンク・ブルー・スカイ・パープル等(在庫により変動) | — | — | — |
| 使用スタイル | — | 手持ち/首かけ/卓上の3WAY | — | — |
| 風量調整 | — | 4段階 | — | — |
| 充電方式 | — | USB Type-C(付属ケーブル1m) | — | — |
| 連続使用時間 | — | 目安約3.5時間(風量設定による) | — | — |
| 重量 | — | 本体約170g/卓上スタンド約40g(目安) | — | — |
| カラー | — | オフホワイト・ミルクティー・サーモンピンク・ティール・ストーングレー | — | — |
| 内容量 | — | — | 81g(個包装込み)×48袋 | 500ml×24本 |
| 賞味期限 | — | — | 仕入れ時点で2028年8月頃(変動あり、目安) | — |
| フレーバー | — | — | スポーツドリンク味・塩レモン味・梅味など(商品ページにより異なる) | — |
| 形態 | — | — | 個包装タブレット | — |
| エネルギー | — | — | — | 10kcal/100ml |
| ナトリウム | — | — | — | 50mEq/L |
| カリウム | — | — | — | 20mEq/L |
| 塩化物 | — | — | — | 50mEq/L |
| ブドウ糖 | — | — | — | 1.8g/100ml |
※ 表は横にスクロールできます。仕様は販売ページの記載にもとづく目安です。
※ 価格・在庫は変動します。最新情報は各ストアでご確認ください。当サイトはアフィリエイトプログラムを利用しています。
テニスの「気合」で乗り切れない暑さがある
テニスは、野球やサッカーのように攻守交代でベンチに下がれる時間が少なく、サーブとレシーブを交互に繰り返しながら常に体を動かし続ける競技です。ラリーが続けば続くほど運動強度は上がり、真夏の直射日光下では体感温度がさらに上乗せされます。加えてハードコートやオムニコートは照り返しが強く、気温計が示す数字以上に体は熱を受け取っていることも珍しくありません。
熱中症は、体の中で作られた熱をうまく外に逃がせなくなることで起きます。人は本来、汗をかいて蒸発させることで体温を下げていますが、湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、放熱が追いつかなくなります。さらに気温が高いと、皮膚から空気中に熱を逃がす仕組みそのものも働きにくくなります。つまり「気温が高い」だけでなく「湿度が高い」ことも同じくらい危険な条件だということは、意外と見落とされがちです。
厄介なのは、熱中症の初期段階では本人の自覚が薄いことです。「まだいける」「休憩したらすぐ戻れる」と感じている段階で、実際には体温調節の余力がかなり削られていることがあります。だからこそ、感覚だけに頼らず、あらかじめ冷却グッズや水分・塩分補給のアイテムを用意し、「対策をしながら練習する」ことを前提にしておくことが重要になります。この記事で紹介するグッズは、熱中症を完全に防ぐお守りではありません。あくまで、体温の上がり方を穏やかにし、休憩中に早く回復させるための補助と考えてください。
なお、この記事は一般的な予防知識と市販グッズの選び方を整理したものであり、医療的な診断や治療方針を示すものではありません。持病がある方、医師から水分・塩分の摂取について指示を受けている方は、対策を始める前にかかりつけ医に相談してください。また、症状が重いと感じた場合は、この記事の対策を試すより先に、練習を中止して涼しい場所に移動し、必要であれば医療機関を受診する判断を優先してください。
野球やサッカーであれば、攻守交代のたびにベンチやダグアウトに戻り、日陰で給水する時間が構造的に組み込まれています。一方でテニスは、シングルスであれば実質的に一人で全コートをカバーし続け、ダブルスであっても休めるのはチェンジコートの短い時間だけです。この「意図的に休憩を作らないと本当に休めない」という競技特性が、テニスにおける熱中症対策をほかの球技以上に自己管理任せにしてしまう一因になっています。だからこそ、道具の力を借りて休憩の質を上げておく意味があります。
この記事のスタンス
紹介するグッズについては「〜とされる」「〜しやすいとされる」という表現にとどめています。冷却効果や体感には個人差があり、断定できるものではないためです。また熱中症対策の基本は「暑い環境を避ける」「無理に運動を続けない」ことであり、グッズはそれを補助するものという位置づけで読み進めてください。
熱中症のサインは「なんとなく」で見逃されやすい
熱中症は症状の重さによっていくつかの段階に分けて説明されることが多く、段階が進むほど対応の緊急度も上がります。自分やチームメイトの様子を見るときに、以下のようなサインが出ていないかを意識しておくと、深刻化する前に気づきやすくなります。いずれか一つでも当てはまったら、休憩を延長する、日陰や涼しい室内に移動するなど、練習の続行より回復を優先してください。
サインが見逃されやすい最大の理由は、テニスというスポーツ自体に「多少しんどくても粘る」場面が多く含まれていることです。競っているゲームで足が重くなっても、それが疲労なのか熱中症の初期サインなのかを、プレーしながら自分で見分けるのは簡単ではありません。だからこそ、感覚だけに頼らず「こむら返りが出たら即休憩」「頭痛を感じたらその場で申告する」といった、あらかじめ決めておいたルールに沿って機械的に対応することが有効だとされています。
一人で練習している場合は特に注意が必要です。周囲に異変を指摘してくれる人がいないぶん、自分の変化に自分で気づくしかありません。練習前に「今日はいつもよりだるいかもしれない」と感じたら無理に予定通りの時間をこなそうとせず、短めに切り上げる判断を自分に許してあげることも、対策の一つだと考えてください。
客観的な目安として、練習前後の体重の変化を確認する方法もあります。汗で失った水分量はおおよそ体重の減少分に近いとされ、練習後に体重が大きく減っている場合は、それだけ多くの水分を失っているサインです。毎回でなくても、暑さが厳しい時期に数回試しておくと、自分がどれくらい汗をかきやすいタイプかを把握でき、休憩中の水分補給量の目安にもなります。
■ 軽い段階のサイン
こむら返り(足がつる)、立ちくらみ、汗が異常に多い、または逆にほとんど汗をかいていないといった変化です。この段階であれば、日陰での休憩と水分・塩分補給で回復に向かうことが多いとされていますが、放置して運動を続けると次の段階に進みやすくなります。
■ 中等度のサイン
頭痛、吐き気、体がだるい、力が入らない、判断力や集中力が落ちている感じがするといった症状です。この段階に入ったら、練習を続けるかどうかを本人任せにせず、周囲が声をかけて確実に休ませることが大切だとされています。飲み物を自分で持てない、返事がぼんやりしているといった様子も見逃さないようにしてください。
■ 重い段階のサイン(すぐに対応が必要)
意識がはっきりしない、呼びかけへの反応がおかしい、体温が非常に高く感じる、けいれんが起きているといった状態です。この段階は自力での回復を待っている時間はなく、すぐに涼しい場所へ移動させ、体を冷やしながら救急要請を検討すべき状況とされています。少しでも様子がおかしいと感じたら、様子見をせず助けを呼んでください。
■ 見た目では分かりにくいサイン
顔色が悪い、唇が乾いている、おしっこの色がいつもより濃い、といった変化も脱水のサインとされています。テニス中は本人が自分の顔色を確認しにくいため、練習仲間やコーチが互いに気にかけ合う習慣を持っておくと、早期に気づきやすくなります。
練習前にできる「暑さの厳しさ」を確認する習慣
熱中症のリスクは、気温だけでなく湿度や日差しの強さ、風の有無によっても大きく変わります。気象庁や環境省が公表している「暑さ指数(WBGT)」は、気温・湿度・輻射熱を組み合わせて算出される指標で、天気予報アプリや環境省の熱中症予防情報サイトで確認できます。練習を始める前に、以下のような手順で暑さの厳しさを確認しておく習慣をつけると、感覚だけに頼らない判断がしやすくなります。
暑さ指数は、おおよそ21℃未満を「ほぼ安全」、25℃以上を「警戒」、28℃以上を「厳重警戒」、31℃以上を「危険」という段階で説明されることが多く、段階ごとに推奨される対応の目安が示されています。「危険」レベルの表示が出ている時間帯は、運動そのものを中止することが推奨される水準とされているため、練習メニューを変更する、屋内の涼しい時間帯にずらすといった判断を検討してください。数字で示されている分、感覚での「大丈夫そう」という判断より客観的に使えるのが利点です。
暑さ指数や気温は、同じ地域でも時間帯によって大きく変わります。日中の練習が難しい場合は、気温が上がりきる前の早朝や、日が傾いてからの夕方に練習時間をずらすだけでも、体への負担はかなり変わってくるとされています。学校の部活動など時間帯を選べない場合は、せめて休憩の回数と長さを増やす、日陰にベンチを移動するといった工夫で補うことになります。
同じ暑さ指数の日でも、暑さに慣れているかどうかで体への負担は変わってくるとされています。梅雨明け直後や、久しぶりに練習を再開したタイミングは、体がまだ暑さに慣れておらず、真夏の最中よりもかえって熱中症のリスクが高いという指摘もあります。「まだそこまで暑くないから」と油断せず、シーズン序盤ほど無理のないペースで体を慣らしていくことを意識してください。
- 1練習開始の30分〜1時間前に、天気予報アプリや環境省の熱中症予防情報サイトで、その日・その時間帯の暑さ指数(WBGT)や「熱中症警戒アラート」の発表状況を確認する。危険レベルの表示が出ている日は、練習時間の短縮や時間帯の変更をコーチ・保護者を交えて検討する。
- 2前日の水分補給の状態を振り返る。就寝前や起床後の体重が普段よりはっきり軽い場合、前日の練習で失った水分が回復しきっていない可能性があります。練習開始前からコップ1〜2杯程度の水分をとっておくと、練習中の脱水の進み方を緩やかにできるとされています。
- 3当日使う冷却グッズと飲み物をバッグに用意する。冷却タオルは事前に濡らして保冷バッグに入れておく、ハンディファンは満充電にしておく、塩分補給用のタブレットや経口補水液は個数・本数を数えて用意しておくなど、練習中に「足りない」と気づいて慌てないようにしておきます。
- 4休憩のタイミングをあらかじめ決めておく。「20分に1回は日陰に入る」「セット間は必ずベンチに戻る」など、練習メニューを組む段階で休憩を組み込んでおくと、暑さで判断力が落ちてから休憩するかどうかを迷わずに済みます。
暑さ指数は気温だけでは分からない
気温がそれほど高くなくても、湿度が高い日や風がない日は暑さ指数が高くなることがあります。「今日は気温が低いから大丈夫」と思い込まず、指数そのものを確認する習慣をつけておくと、曇りや高湿度の日の油断を防ぎやすくなります。
冷やす部位と道具の考え方 — 表面を冷やす・風を当てる・内側から整える
熱中症対策グッズは種類が多く、どれから揃えればいいか迷いやすい分野です。整理すると、対策はおおよそ「体の表面を冷やす」「風を当てて汗を蒸発させやすくする」「体の内側から水分・塩分を整える」という3つのアプローチに分けられます。この3つは役割が違うため、どれか一つで済ませようとするより、組み合わせて使うほうが効果を実感しやすいとされています。
体の表面を冷やすアプローチの代表が、冷却タオルや保冷剤入りのネッククーラーです。首の後ろや脇の下、太ももの付け根など、太い血管が皮膚の近くを通っている部位を冷やすと、全身の血液が効率よく冷やされやすいとされています。冷却タオルは濡らして振ることで気化熱を利用するタイプが多く、保冷剤入りのタイプは凍らせて使う分、冷却効果の持続時間が長い傾向にあります。ただし保冷剤タイプは冷凍庫での事前準備が必要になる分、練習場所によっては用意しづらいこともあります。
風を当てるアプローチは、ハンディファンや携帯扇風機が該当します。汗をかいていても風が当たらないと蒸発が進みにくく、体感的な涼しさも得にくいものです。無風の室内練習や、風の弱い日の屋外での練習では特に効果を感じやすいとされています。一方で、湿度が非常に高い日は汗自体が蒸発しにくいため、風を当てるだけでは限界があることも知っておくと過信を防げます。
体の内側から整えるアプローチが、水分・塩分補給です。これは道具というより「行動」に近い対策ですが、汗で失われるのは水分だけでなくナトリウムなどの電解質でもあるため、水だけを大量に飲むと体内の塩分濃度が薄まってしまうことがあります。塩分タブレットや経口補水液は、このバランスを整える目的で使われるアイテムです。3つのアプローチの中でも、この内側からのケアが土台になると考えておくと、道具選びの優先順位をつけやすくなります。
テニスの休憩時間はセット間やチェンジコートの数十秒〜数分と短いことが多く、3つのアプローチを一度に全部行うのは現実的ではありません。短い休憩では冷却タオルで首を冷やしながら一口水分を取る、コートを離れられる長めの休憩ではハンディファンも併用する、といったように、休憩の長さに応じてどのアプローチを優先するかをあらかじめ決めておくと、限られた時間でも慌てずに対策できます。
水だけでは足りない理由 — 塩分・電解質補給の考え方
「熱中症対策=とにかく水を飲む」というイメージを持っている人は多いですが、大量に汗をかいた状態で水だけを飲み続けると、かえって体調を崩すことがあります。汗にはナトリウムをはじめとする電解質が含まれており、汗を大量にかいた状態で水分だけを補うと、体内の電解質濃度が薄まり、頭痛やだるさ、ひどい場合はけいれんにつながることがあるとされています。
このバランスの崩れを防ぐために使われるのが、塩分タブレットやスポーツドリンク、経口補水液といったアイテムです。運動中の軽い塩分補給には塩分タブレットやスポーツドリンクが選ばれることが多く、大量に汗をかいたあとや、脱水気味だと感じるときには、電解質濃度が管理された経口補水液が選択肢に入るとされています。逆に言えば、少し汗をかいた程度の場面で毎回経口補水液を飲む必要はなく、場面によって使い分けるものだと考えておくとよいでしょう。
摂取のタイミングも大切です。喉が渇いてから飲むのではなく、練習前・休憩ごとに少しずつ補給していくほうが、体内の水分・電解質バランスを保ちやすいとされています。特にテニスはラリーの合間にしか水分補給のタイミングが取りにくい競技なので、コート脇にすぐ飲めるように塩分タブレットと飲み物を並べておく、休憩のたびに必ず一口飲む、といった習慣化が現実的な対策になります。
なお、糖尿病や腎機能に不安がある方、医師から塩分・水分の摂取量について指示を受けている方は、市販の塩分補給アイテムを自己判断で取り入れる前に、必ずかかりつけ医に相談してください。健康な人にとって適切な量でも、持病によっては負担になる場合があります。
練習後の食事にも触れておきます。汗で失った塩分やミネラルは、練習直後の食事でもある程度補うことができます。練習後すぐに水分だけを大量に摂って満足してしまうと、そのあとの食事量が落ちてしまい、結果的に翌日への回復が遅れることもあります。練習中のグッズによる対策と、練習後の食事による回復は、どちらか一方で完結するものではなく、両方セットで考えておくとよいでしょう。
塩分を意識しすぎて、逆に電解質入りの飲み物やタブレットを必要以上に摂りすぎるのも避けたいところです。軽い運動量にもかかわらず経口補水液を水代わりに何本も飲む、といった摂り方は、想定されている使い方とは異なります。あくまで汗をかいた分を補う目的の商品であることを意識し、パッケージに記載された摂取目安を参考にしてください。
服装・日陰・練習時間の工夫 — グッズと合わせて効果を底上げする
冷却タオルやハンディファン、塩分補給アイテムはこの記事の中心的なテーマですが、それだけで完結させるより、服装や練習環境の工夫と組み合わせるほうが、体感の負担ははっきり軽くなります。ここではグッズと同じくらい効果が大きいとされる、身近な工夫をまとめました。
服装は、吸汗速乾素材で通気性のあるウェアを選ぶだけでも汗の乾きやすさが変わります。色については、濃い色は光を吸収しやすく、淡い色のほうが熱をため込みにくいとされているため、真夏のウェア選びでは白や淡色を候補に入れてみる価値があります。また、帽子やサンバイザーは頭部への直射日光を防ぐ役割があり、UVカット機能付きのアームスリーブと合わせて使うと、日焼けと体温上昇の両方を和らげやすくなります。
練習するコートそのものの選び方も見直してみてください。同じ地域でも、木陰やクラブハウスの陰でベンチが確保できるコートと、周囲に日陰が一切ないコートとでは、休憩中に体を冷ます効率が大きく変わります。可能であれば、休憩スペースに簡易的な日除け(パラソルやタープ)を用意しておくと、コート自体に日陰がない場合でも休憩の質を底上げできます。
練習時間の組み方も見直しどころです。真夏の日中を避けて早朝や夕方に練習をシフトする、長時間ぶっ通しで打ち続けるのではなく短い練習を複数回に分けるといった工夫は、グッズを使う以上に体への負担を減らせることがあります。学校の部活動のように時間帯を選びにくい場合でも、メニューの中に「日陰での休憩」を意図的に組み込んでおくだけで、練習全体の負担は変わってきます。
グッズ選びの3ステップ
ここまでの内容を踏まえて、実際にどう揃えていけばいいかを3つのステップに整理しました。すべてを一度にそろえる必要はありません。自分の練習環境と頻度に合わせて、優先順位をつけて揃えていくのが現実的です。
道具をそろえる順番に迷ったら、まず「命に関わる可能性がある部分」から手をつけるのが基本です。冷却タオルやハンディファンは体感の快適さを大きく左右しますが、熱中症の重症化を防ぐという意味では、水分・塩分補給の習慣づけのほうが優先度は高いとされています。予算が限られているなら、見た目や気分が上がるグッズより先に、塩分補給アイテムと飲み物の置き場所を整えることを優先してください。
家族や指導者が用意してあげる場合は、本人の好みも聞いておくとよいでしょう。冷却タオルの肌ざわりや、塩分タブレットの味の好みは人によって差があり、「せっかく買ったのに使ってくれない」という状況は珍しくありません。特に子どもや部員に配る場合は、続けて使ってもらえるかどうかも選ぶ基準に加えてみてください。
すでに何かしらの熱中症対策グッズを持っている場合は、まず今持っているものがきちんと使える状態かを確認するところから始めてください。ハンディファンの電池残量が切れたまま放置されていた、塩分タブレットの賞味期限が切れていた、というのはよくある見落としです。新しく買い足す前に、手持ちのグッズを点検する習慣をつけておくと、余計な出費を減らせます。
- 1練習の頻度と時間を確認する。週1回・1〜2時間程度の練習であれば、まずは水分・塩分補給の習慣化と、冷却タオル1枚から始めるので十分なことが多いです。部活動などで週4〜5回、1回2時間以上屋外で練習する場合は、冷却タオルに加えてハンディファンや経口補水液もそろえておくと、休憩の質が上がりやすくなります。
- 2練習環境を確認する。屋外の照り返しが強いハードコートなのか、木陰のある公園コートなのか、屋内の風通しが悪い体育館なのかによって、優先すべきグッズは変わります。無風の環境ならハンディファンの効果を感じやすく、日差しが強い環境なら冷却タオルや日陰での休憩の重要性が増します。
- 3予算と持ち運びやすさで絞り込む。冷却タオルは数百円〜千円台、ハンディファンは2千〜3千円台、塩分補給アイテムはまとめ買いすると割安になる傾向があります。ラケットバッグのポケットに入る大きさか、充電の手間がかかりすぎないかも、続けやすさを左右するポイントです。
使うタイミングと手入れの注意点
グッズは正しいタイミングで使ってこそ効果を実感しやすくなります。ここでは、練習の中でどう使い分けるか、また長く使うための手入れのポイントを整理しました。
冷却タオルは、汗をかいてから使うだけでなく、練習開始前や休憩の最初に首や脇の下に当てておくと、体温の上がり方を穏やかにしやすいとされています。使用後は流水で軽くすすいで陰干しし、生乾きのまま保冷バッグに戻さないようにしてください。雑菌が繁殖したまま使い続けると、肌トラブルの原因になることがあります。
ハンディファンは、休憩に入った瞬間から使うより、休憩の後半、汗が引き始めたタイミングでしっかり風を当てるほうが涼しさを感じやすいという声もあります。バッテリー残量は練習前に必ず確認し、長時間の練習では予備のモバイルバッテリーを持参しておくと、肝心なときに使えないという事態を避けられます。
塩分タブレットや経口補水液は、練習後にまとめて摂るよりも、休憩のたびに少しずつ摂るほうが体内の水分・電解質バランスを保ちやすいとされています。特に経口補水液は、飲みすぎるとナトリウムの摂りすぎにつながる可能性も指摘されているため、パッケージに記載された目安量を参考に、必要以上に大量摂取しないようにしてください。
保管場所にも注意してください。真夏の車内は短時間でも高温になり、経口補水液や塩分タブレットを車内に放置すると、品質が変わってしまう可能性があります。ハンディファンのバッテリーも高温下での保管は劣化を早めるとされているため、練習後は涼しい場所に持ち帰る習慣をつけておくと、グッズを長持ちさせやすくなります。
グッズに頼りすぎないことも大切
どれだけ良いグッズをそろえても、暑さ指数が極端に高い日や、体調がすぐれない日は、練習量そのものを減らす・時間帯をずらす判断のほうが優先されます。グッズは「無理をしても大丈夫にする道具」ではなく「無理のない範囲で快適に練習を続けるための道具」だと考えておくと、使い方を誤りにくくなります。
こんな症状が出たら、対策グッズより先に練習を中断してください
ここまで紹介してきたグッズは、あくまで予防と回復を助けるための道具です。すでに体調に異変が出ている段階では、冷却タオルや飲み物で様子を見るより先に、練習そのものを中断する判断を優先してください。
具体的には、頭痛やめまい、吐き気、力が入らないといった症状が出た時点で、その日の練習を続けるかどうかを本人だけで判断させないことが大切です。周囲にいるコーチや仲間が「大丈夫?」と一声かけ、少しでも様子がおかしければ日陰や涼しい室内へ移動し、衣服を緩めて体を冷やしながら回復を待ってください。
意識がはっきりしない、呼びかけへの反応が鈍い、けいれんが起きている、自力で水分をとれないといった状態は、その場での対応だけに頼らず、速やかに救急要請を検討すべき状況とされています。「大げさかもしれない」とためらう気持ちが対応の遅れにつながることもあるため、判断に迷ったときほど早めに助けを呼ぶ方向で考えてください。
部活動やスクールでは、あらかじめ「誰がどのタイミングで練習中止を判断するか」「近くの涼しい休憩場所はどこか」「緊急時の連絡先は誰が持っているか」を確認しておくと、いざというときに落ち着いて対応しやすくなります。個人での練習であっても、家族や練習仲間に当日の練習時間と場所を伝えておくだけで、何かあったときに気づいてもらいやすくなります。
この記事で紹介した冷却タオルやハンディファン、塩分補給アイテムは、あくまで「無理のない練習を続けるための備え」であって、体調不良を我慢して練習を続けるための道具ではありません。グッズをそろえたことで安心してしまい、かえって無理をしてしまっては本末転倒です。道具の準備と同じくらい、「今日はやめておく」という判断を後押ししてくれる仲間や指導者の存在も、熱中症対策の大事な一部だと考えてください。
よくある質問
Q冷却タオルやハンディファンをそろえれば、熱中症は防げますか?
Aこれらのグッズだけで熱中症を確実に防げるわけではありません。暑さ指数が高い日は練習時間を短縮する、こまめに休憩を取る、体調の変化に早めに気づくといった行動が土台にあり、グッズはそれを補助する位置づけです。グッズをそろえたからと油断せず、体調のサインに注意を払うことが大切です。
Q何から揃えればいいですか?
A週1回程度の練習であれば、水分・塩分補給の習慣化と冷却タオル1枚から始めるので十分なことが多いです。部活動などで練習頻度・時間が長い場合は、ハンディファンや経口補水液も加えると休憩の質が上がりやすくなります。予算と練習頻度に応じて優先順位をつけて揃えてください。
Q練習中、水分補給はどのくらいの頻度で行えばいいですか?
A個人差が大きいため断定はできませんが、喉が渇いてから飲むのではなく、休憩のたびに少しずつこまめに補給するほうが体内の水分バランスを保ちやすいとされています。ラリーの合間に飲みにくいテニスでは、休憩の最初に必ず一口飲むといったルールを決めておくと習慣化しやすくなります。
Q塩分タブレットと経口補水液はどちらを選べばいいですか?
A軽く汗をかく程度の練習では塩分タブレットやスポーツドリンクで十分なことが多く、大量に汗をかいたときや脱水気味だと感じるときには、電解質濃度が管理された経口補水液が選択肢に入るとされています。どちらか一方に絞る必要はなく、練習の強度に応じて使い分ける考え方がおすすめです。
Q子どもがテニスをする場合、大人と同じ対策でいいですか?
A子どもは体温調節の機能が大人ほど発達しておらず、暑さの影響を受けやすいとされています。大人向けの対策を基本にしつつ、休憩の回数を増やす、本人が「大丈夫」と言っても周囲が積極的に休ませる、顔色や様子をこまめに確認するなど、より慎重な対応を心がけてください。
Q熱中症になりかけているサインはどう見分ければいいですか?
A足がつる、立ちくらみ、頭痛、吐き気、体がだるいといった変化が代表的なサインです。記事内の「熱中症のサインは『なんとなく』で見逃されやすい」で段階ごとに整理しているので、練習前に一度目を通しておき、自分やチームメイトの様子と照らし合わせられるようにしておくと安心です。
Q曇りの日や涼しく感じる日でも対策は必要ですか?
Aはい、必要です。熱中症のリスクは気温だけでなく湿度や風の有無にも左右され、曇りで気温が低めでも湿度が高いと暑さ指数が上がることがあります。「今日は涼しいから大丈夫」と思い込まず、暑さ指数や熱中症警戒アラートの発表状況を確認する習慣をつけておくことをおすすめします。
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