気温が下がってくると、テニスの悩みは急に増えます。厚着をすればサーブのテイクバックが窮屈になり、薄着で我慢すれば体が冷えて怪我が心配になる。「防寒」と「スイングのしやすさ」は、実はけっこう相反する要求です。生地が厚くなるほど肩や腕の可動域は狭くなり、逆に動きやすさを優先して薄着にすると、休憩中や試合の合間にどんどん体が冷えていきます。この記事では、この矛盾をどう両立させるか、レイヤリング(重ね着)の考え方から、アイテムごとに見るべきポイント、プレー前後の脱ぎ着の手順までを整理しました。最後には、実際に候補になりやすい防寒アイテム4点も紹介しています。
この記事でわかること
- 「厚着すれば安心」が、テニスでは裏目に出ることがある
- なぜ防寒着を着ると、スイングが小さくなるのか
- レイヤリングの基本=ベース・ミドル・アウターの3層
- 素材表記の読み方 — 「発熱」「起毛」「撥水」は何が違うのか
- プレー前後の脱ぎ着、タイミングを決めておく
- 下半身・首・手先の防寒も忘れずに
最終更新:
冬のテニスウェアおすすめ4選
ここからは実際の候補です。前提として、これらを着れば必ず快適になる、という話ではありません。ミドルレイヤー・ボトムス・アウターと役割が分かれる4アイテムを、レイヤリングの考え方に沿って選びました。価格は記事作成時点の参考価格で、変動する場合があります。
4点を並べると、価格帯と役割がはっきり分かれているのが分かります。ヨネックスとミズノはミドルレイヤーとして使えるトップスで、発熱の仕組みが「起毛+ヒートカプセル」か「吸湿発熱のブレスサーモ」かという違いがあります。ティゴラは下半身の防寒を安く揃えられるボトムス、バボラはプレー中ではなく待ち時間用の厚手アウターという位置づけです。
どれを選ぶかは、自分がどの場面の寒さに困っているかによって変わります。スイング中の窮屈さが気になるならヨネックスかミズノのミドルレイヤーから、下半身の防寒を安く済ませたいならティゴラ、待ち時間の冷えが一番つらいならバボラのアウターを検討するとよいでしょう。価格・仕様は変動するため、購入前に必ず商品ページで最新情報を確認してください。
4点すべてを一度に揃える必要はありません。まずミドルレイヤーとして使えるヨネックスかミズノのどちらか1点を用意し、慣れてきたら下半身用にティゴラ、待ち時間用にバボラを追加していくというように、必要性を感じた場面から段階的に揃えていく方法でも十分に対応できます。
なお、いずれの商品も気温や好みによってはサイズ・カラーの選択肢が限られる場合があります。特にセール品や在庫処分品は数量限定であることが多いため、気になるアイテムがあれば早めに商品ページで在庫状況を確認しておくと安心です。
通販でサイズ選びに不安がある場合は、返品・交換の条件を事前に確認しておくと安心です。ショップによって対応は異なるため、特にジャストサイズが求められるボトムスやジャケット類は、サイズ表と自分の実寸を照らし合わせてから注文することをおすすめします。
■ スペック比較表
| 商品 | ヨネックス ユニライトトレーナー(フィットスタイル) 3… | ミズノ ブレスサーモウォーマーシャツ 62MEB530 | ティゴラ ウインドパンツ 裏地背面アルミプリント生地使用… | バボラ PURE ボアジャケット BUT5154 |
|---|---|---|---|---|
| 参考価格 | 5,498円 | 7,198円 | 1,999円 | 9,094円 |
| 素材 | ポリエステル | 表地・裏地・本体:ポリエステル100%、後身頃上部:ポリエステル94%+ブレスサーモ6%、フライス部:ポリエステル98%+ポリウレタン2% | 表地:ポリエステル92%・ポリウレタン8%、裏地:ポリエステル100% | BOA |
| 機能 | ヒートカプセル(赤外線を熱に変換)・吸汗速乾・裏起毛・ストレッチ | 吸湿発熱素材ブレスサーモ、撥水(プルーフPLUS) | 撥水・ストレッチ、股下マチ入り、裾ファスナーで着脱しやすい | ボア素材による高い保温性、ソフトタッチ |
| サイズ展開 | S / M / L / XL(ユニセックス) | — | — | M / L / XL |
| カラー | 4色展開(在庫により変動) | ブルー / ブラック | ブラック | ホワイト系(101WH) / ブラック系(105BK) |
| 生産国 | 中国 | 中国 | — | — |
| 参考価格 | 5,498円 | 7,198円 | 1,999円(+送料660円) | 9,094円 |
| シルエット | — | スタンダードシルエット | — | — |
| 裏地 | — | — | 背面部にアルミプリント(体の熱を反射し保温) | — |
| サイズ目安 | — | — | S(ウエスト71〜77cm)〜XL(83〜89cm) | — |
| 仕様 | — | — | — | 国内正規品 |
※ 表は横にスクロールできます。仕様は販売ページの記載にもとづく目安です。
※ 価格・在庫は変動します。最新情報は各ストアでご確認ください。当サイトはアフィリエイトプログラムを利用しています。
「厚着すれば安心」が、テニスでは裏目に出ることがある
冬のテニスで一番やってしまいがちなのが、とにかく厚着をして体を守ろうとすることです。気持ちはよく分かりますが、テニスは肩を大きく回してサーブを打ち、横に大きく踏み込んでボレーを取りにいくスポーツです。着ぶくれするほど生地の抵抗が増え、肩関節や股関節の可動域が実際に狭くなります。
厚手のパーカーやジャージを何枚も重ねて打ってみると分かりますが、テイクバックで腕を後ろに引いたときに脇や肩まわりの生地がつっぱり、スイングが小さくなってしまうことがあります。本人は「フォームは変えていない」つもりでも、生地の抵抗によって無意識に動きを縮めてしまっているケースは少なくありません。
一方で、寒いからと薄着を選びすぎるのも別の問題を招きます。プレー中は体を動かして温まっていても、ポイント間の待ち時間やチェンジコートの休憩で体はすぐに冷えます。汗をかいた状態で冷たい風にさらされると、筋肉や腱が硬くなり、肉離れやアキレス腱の違和感につながりやすいとされています。
つまり冬のウェア選びは「とにかく暖かい服を着る」でも「我慢して薄着で乗り切る」でもなく、動いている間と止まっている間で必要な防寒レベルが違うことを前提に考える必要があります。この考え方の軸になるのが、次で説明するレイヤリング(重ね着)です。
スキーウェアやゴルフ用の防寒着をそのまま流用しようと考える人もいますが、あまりおすすめできません。これらは比較的静止した姿勢や小さな動作を想定して作られていることが多く、テニスのように肩を大きく回転させる動作には対応しきれない場合があります。可能であれば、テニス用またはランニング・トレーニング用として設計されたウェアの中から選ぶほうが、可動域の面では無難です。
例えば「ゴルフでは平気だったから」とダウンジャケットのような厚手のアウターを着たままサーブを打とうとすると、肩関節の外旋・内旋という複雑な動きが生地に阻まれ、フォームそのものが崩れてしまうことがあります。競技によって求められる動きの大きさは大きく異なるため、他競技用の防寒着をテニスにそのまま流用する前に、一度腕を大きく回して確認しておくと安心です。
厚着によって動きが鈍くなっていることに、プレーヤー自身が気づきにくいという問題もあります。「今日は調子が悪い」と感じたとき、原因がスイングやメンタルではなく、単に着ている服の抵抗にあった、というケースは実は珍しくありません。思うようにプレーできない日は、フォームやメンタルだけでなく、着ているものにも目を向けてみる価値があります。
この記事のスタンス
「この組み合わせを着れば絶対に快適」という断定はしません。気温や体質、練習強度によって適切な防寒レベルは変わるためです。素材の特徴については「〜とされる」という表現にとどめ、判断材料として使ってください。
なぜ防寒着を着ると、スイングが小さくなるのか
防寒とスイングのしやすさが両立しにくい理由は、主に3つに整理できます。生地の伸縮性、レイヤーの枚数、そして関節まわりの余裕(ゆとり)です。この3つを理解しておくと、店頭やネット通販で「これは動きやすそうか」をある程度判断できるようになります。
1つ目は生地そのものの伸縮性です。裏起毛素材やフリース素材は暖かい反面、伸びにくい生地で作られていることが多く、腕を大きく振り上げたときに突っ張りやすくなります。近年はストレッチ性を持たせた防寒素材も増えていますが、商品ページに「ストレッチ」「伸縮」といった表記があるかどうかは確認しておきたいポイントです。
2つ目はレイヤーの枚数です。ベースレイヤー・ミドルレイヤー・アウターと重ねる枚数が増えるほど、生地同士が擦れ合い、関節を曲げたときの抵抗が増えていきます。同じ保温性を確保するにしても、薄手の高機能素材を1〜2枚重ねるほうが、厚手のものを3枚重ねるより可動域を確保しやすい傾向があります。
3つ目は関節まわりのゆとりです。特に肩や脇まわりにゆとりのないタイトなシルエットの服を着ると、テイクバックで生地が体に張り付いて動きを制限します。逆にゆとりがありすぎると、今度は生地がラケットに絡んだり、風でばたついたりして気が散る原因になります。試着できる場合は、実際に腕を大きく振ってみて突っ張らないかを確認するのが確実です。
自分が普段着ているウェアがどのくらい動きを妨げているかは、コートに立たなくても大まかに確認できます。着た状態でサービスモーションのように腕を大きく振り上げてみて、脇や肩まわりに突っ張りを感じるかどうかをチェックするだけでも、ある程度の目安になります。試着室や自宅でも試せる、手軽なセルフチェックです。
なお、伸縮性のある生地であっても、洗濯を繰り返すうちにストレッチ性が弱まってくることがあります。長く使っているウェアで急に動きにくさを感じるようになった場合は、生地そのものの劣化が原因になっていることもあるので、購入時の伸び具合だけでなく、使用年数も踏まえて見直してみるとよいでしょう。
素材の種類で言えば、フリースは軽くて暖かい反面、風を通しやすく単体だと防風性に欠けるとされています。一方、表面に薄い膜を施したソフトシェル素材は、フリースよりやや重くなるものの、ある程度の防風性とストレッチ性を両立しているとされ、ミドルレイヤーとアウターの中間的な役割で使われることがあります。
レイヤリングの基本=ベース・ミドル・アウターの3層
防寒と動きやすさを両立させる基本の考え方が、ベースレイヤー・ミドルレイヤー・アウターレイヤーの3層構造です。それぞれ役割が違うので、1枚で全部を済ませようとせず、役割ごとに薄手のアイテムを組み合わせるのがコツです。
3層すべてを毎回きっちり揃える必要はありません。気温が5℃を下回るような厳しい寒さならフル3層、10℃前後ならベース+ミドルの2層で十分、というように、その日の気温と運動強度に応じて枚数を調整するのが実用的です。
大事なのは、アウターを「プレー中に着たまま動くための服」ではなく、「動いていないときに体を守るための服」と割り切ることです。この発想を持っておくと、アウター選びは保温力重視、ミドルレイヤーは動きやすさ重視、という基準がはっきりして、選ぶ迷いが減ります。
枚数を増やすときは、体幹に近い部分から厚みを足すのがコツです。手首や足首といった末端よりも、体幹に近い胴体や太もものほうが熱を作り出す筋肉量が多く、ここを保温すると全身の冷えを感じにくくなるとされています。逆に末端ばかり厚着をしても、体幹が冷えたままでは全体の寒さは解消しにくいものです。
色選びについても触れておきます。濃い色の生地は太陽光を吸収しやすく、日なたでは同じ厚みでも暖かく感じられる傾向があるとされています。逆に薄い色は熱を吸収しにくい分、日陰や曇りの日は冷えを感じやすいことがあります。絶対的な差ではありませんが、迷ったときの判断材料の一つとして覚えておくとよいでしょう。
シーズンオフの保管方法にも触れておきます。防寒ウェアは湿気を含んだまま収納すると、カビや嫌なにおいの原因になることがあります。しっかり乾燥させてから、除湿剤とともに衣装ケースなどにしまっておくと、翌シーズンも気持ちよく着用できます。
■ ベースレイヤー(肌に一番近い層)
汗を素早く吸って発散させる、吸汗速乾素材の半袖・長袖シャツが基本です。ここで汗が肌に残ると、動きが止まった瞬間に一気に体が冷えます。コットン素材は乾きにくく汗冷えの原因になりやすいとされるため、テニス用・スポーツ用の速乾素材を選ぶのが無難です。
■ ミドルレイヤー(保温を担う層)
裏起毛のトレーナーや、発熱素材を使ったウォームアップシャツなど、体温を逃さないための層です。ここが厚すぎるとスイングを妨げるため、ストレッチ性のある薄手〜中厚手のアイテムを選ぶと、保温と可動域のバランスが取りやすくなります。
■ アウターレイヤー(風と外気を防ぐ層)
ウインドブレーカーやジャケットなど、外気や風を遮る層です。プレー中は脱いでベースレイヤー+ミドルレイヤーだけで動き、アップ前や休憩中はアウターを羽織って体を冷やさない、という使い方が基本になります。
素材表記の読み方 — 「発熱」「起毛」「撥水」は何が違うのか
商品ページには「発熱素材」「裏起毛」「撥水」といった表記が並びますが、それぞれ役割が違います。全部が同じ「暖かい」を意味しているわけではないので、自分がどの場面で困っているかに合わせて選ぶと失敗が減ります。
「発熱素材」は、汗などの水分を吸収する際に化学反応で熱を生む素材の総称で、各メーカーが独自の名称をつけています(ブレスサーモ、ヒートカプセルなど)。運動して汗をかくほど暖かさを感じやすいとされ、体を動かし続けるテニスとは相性がよい一方、汗をかく前の待ち時間にはあまり効果を実感しにくい場合があります。
「裏起毛」は生地の裏側を毛羽立たせて空気の層を作り、保温性を高める加工です。発熱素材のような化学的な仕組みではなく、シンプルに空気の層で熱を逃がしにくくする方式のため、じっとしている時間の防寒に強い傾向があります。ただし起毛の分だけ生地が厚くなりやすく、伸縮性は商品ごとの差が大きいので確認が必要です。
「撥水」は生地の表面で水をはじく加工で、小雨や芝・クレーコートの水分、自分の汗が生地にしみ込むのを防ぐ役割です。防水(完全に水を通さない)とは違い、あくまで水をはじきやすくする加工である点は理解しておくと、大雨の中でも大丈夫、という過度な期待をせずに済みます。
商品ページで複数の機能表記が並んでいて優先順位に迷うこともあると思います。プレー中の動きやすさを重視するなら「ストレッチ」「軽量」の表記を、待ち時間の保温を重視するなら「発熱」「起毛」の表記を優先するというように、自分がどの場面で困っているかを基準に選ぶと判断しやすくなります。
なお、これらの機能表記は洗濯方法によって効果が落ちることがあります。特に撥水加工は洗濯を重ねるうちに徐々に弱まるとされており、タグに記載された洗濯表示を守ることが機能を長持ちさせるうえで欠かせません。乾燥機の使用可否や、柔軟剤の使用制限が明記されている場合は、必ず確認してから洗濯するようにしてください。
なお、同じ「発熱素材」という表記でも、メーカーによって温度上昇の測定条件が異なる場合があります。カタログスペックの数値だけで単純に比較するのではなく、あくまで自社製品同士を比べるための相対的な目安として捉えておくのが、実態に近い理解の仕方です。
プレー前後の脱ぎ着、タイミングを決めておく
レイヤリングの効果を最大限に活かすには、「いつ脱いで、いつ着るか」をあらかじめ決めておくことが重要です。行き当たりばったりで脱ぎ着すると、結局は面倒になって着たまま・脱いだままでプレーを続けてしまい、防寒の意味が薄れてしまいます。
当日の防寒レベルを決める際は、事前に天気予報で気温と風速を確認しておくと、レイヤーの枚数や種類を無駄なく準備できます。特に風速は体感温度に大きく影響するため、気温だけでなく風の強さも合わせてチェックする習慣をつけておくとよいでしょう。
この一連の流れをあらかじめ頭に入れておくだけで、防寒と可動域の両立はかなり楽になります。ポイントは、防寒着を「着るか脱ぐか」の二択ではなく、体温と運動強度に合わせて段階的に調整するものだと捉えることです。
この手順は、慣れないうちは面倒に感じるかもしれません。ですが、練習や試合を重ねるうちに自分なりのタイミングが体感として身につき、意識しなくても自然に着脱できるようになっていきます。最初の数回は、時計を見る、コーチの声かけを目安にするなど、意識的に着脱のタイミングを作る練習をしてみてください。
荷物が増えることを面倒に感じる人もいるかもしれませんが、脱いだウェアをまとめて入れられる大きめのバッグを1つ用意しておくだけで、この着脱の手間はかなり軽減されます。ベンチやコートサイドに置きっぱなしにせず、まとめて管理できる場所を決めておくと、忘れ物も防ぎやすくなります。
ダブルスでプレーする場合は、パートナーとも着脱のタイミングを軽く共有しておくと、コートチェンジの短い時間でもスムーズに動けます。相手を待たせてしまうことに気を使いすぎて、本当は寒いのに薄着のまま我慢する、という状況を避けやすくなります。
- 1会場に着いたら、まずアウターとミドルレイヤーを着た状態で体を動かし始める。いきなりコートに出て素振りやラリーを始めるのではなく、軽いジョギングや体操で筋肉と関節を温めておくと、その後の可動域が確保しやすくなります。
- 2ウォームアップの後半、体が温まってきたらアウターを脱ぐ。汗ばんでくる感覚が出てきたタイミングが目安です。ここで脱がずに厚着のまま本格的な打ち合いに入ると、スイングが窮屈なまま固定されてしまいます。
- 3本格的な練習・試合中はベースレイヤー+ミドルレイヤーで通す。ミドルレイヤーも動きにくさを感じるようなら、ここでさらに1枚脱いでベースレイヤーのみにする選択肢も持っておきます。
- 4チェンジコートやポイント間の長い待ち時間は、脱いだアウターを肩にかけるか、コートサイドに用意しておいてすぐ羽織れるようにしておく。ベンチコートやボアジャケットのように着脱しやすいアイテムを近くに置いておくと、この切り替えがスムーズになります。
- 5プレーが終わったら、汗をかいたベースレイヤーのままアウターだけ羽織って長時間過ごさない。汗で濡れた生地は乾いた生地より体温を奪いやすいため、可能であれば着替えを用意しておき、帰宅・移動前に乾いた服に替えるのが理想です。
下半身・首・手先の防寒も忘れずに
上半身のレイヤリングに気を取られがちですが、下半身や首元、手先の冷えも見落とせません。特に下半身は大きく踏み込む動作が多いため、上半身以上に生地の伸縮性やシルエットが重要になります。
下半身は、ウインドパンツやロングタイツを検討する人が多いはずです。選ぶときは股下のマチ(生地に余裕を持たせた部分)があるかどうかを確認してください。マチがないパンツは、大きく足を開くスプリットステップやワイドな踏み込みで生地が突っ張り、動きを妨げることがあります。
首元は、意外と冷えを感じやすい部位です。パーカータイプのミドルレイヤーでフードを閉じられるようにしておくか、薄手のネックウォーマーを1枚持っておくと、待ち時間の防寒に重宝します。ただしプレー中に大きく巻いたままだと視界や動きの邪魔になることがあるため、外しやすいものを選ぶのが無難です。
手先については、ラケットを握る都合上、厚手の手袋はプレー中には向きません。待ち時間用に指先が出るタイプの薄手グローブやハンドウォーマーを用意しておき、プレーに入る直前に外す、という使い方が現実的です。グリップの握り心地を毎回確認してから購入することをおすすめします。
耳の防寒も、風の強い屋外コートでは意外と見落とせません。ニット帽やイヤーウォーマーを使う場合は、プレー中に視界や聴覚を妨げない、フィット感のあるものを選んでください。ラケットに触れるような大きな装飾がついたものは避け、シンプルな形状のものを選ぶのが無難です。
足元については、靴下の防寒も見落とせません。厚手すぎる靴下はシューズの中で足が動きやすくなり、フィット感が失われて捻挫などのリスクを高めてしまう場合があります。テニス専用に設計された、適度な厚みとクッション性を持つ靴下を選ぶことをおすすめします。
リストバンドや薄手のアームウォーマーも、手先の冷えが気になる人には選択肢になります。汗を拭う本来の役割に加えて手首まわりの防寒にも一定の効果が期待できるとされ、グリップの握り心地を変えずに使いやすいアイテムです。
気温別のレイヤリング目安
ここまでの考え方を踏まえて、気温帯ごとにどれくらいのレイヤーを想定すればいいか、目安を整理しておきます。数値はあくまで目安であり、風の強さや体質、練習強度によって体感は変わります。
同じ気温でも、風がある日とない日では体感がまったく違います。屋外コートで風が強い日は、実質的に気温より2〜3℃低い体感になるとも言われており、アウターを1枚多めに用意しておくと安心です。
湿度も体感温度に影響する要素の一つです。同じ気温でも湿度が高い日は汗が乾きにくく、体温が奪われやすくなるとされています。雨上がりや朝露が残るコンディションの日は、通常よりも1枚多めに用意しておくと安心です。
逆に、休みなく動き続けるシングルスの試合と、待ち時間の多いダブルスの試合でも必要な防寒レベルは変わります。自分がその日どんな強度で、どれくらい休憩を挟みながらプレーするのかも、レイヤーの枚数を決める材料に加えてみてください。
気温だけでなく、日なたと日陰でも体感温度は大きく変わります。同じコートでも太陽が当たる時間帯と当たらない時間帯とでは、必要なレイヤーの枚数が変わることもあるので、練習・試合の時間帯に応じて調整する柔軟さも持っておくとよいでしょう。
ここに挙げた目安の数値は、あくまで平均的な体感に基づくものです。冷え性の自覚がある人はこの目安より1段階厚めのレイヤリングを基準にし、逆に暑がりの自覚がある人は1段階薄めから試してみるというように、自分の体質に合わせて微調整することをおすすめします。
次の章で紹介する4アイテムも、この気温帯の目安に沿って役割分けをしています。自分がよくプレーする時間帯・季節の気温を思い浮かべながら、どのアイテムから揃えるべきかの参考にしてください。
■ 15℃前後
ベースレイヤー+半袖・長袖のプレーウェアだけで足りることが多い気温帯です。アップ時のみ薄手のウインドブレーカーを羽織り、体が温まったら脱ぐ程度で十分な場合がほとんどです。
■ 8〜14℃
ベースレイヤー+ミドルレイヤー(裏起毛や発熱素材のトップス)を基本にし、プレー中はミドルレイヤーのみ、待ち時間はアウターを追加する2段階の使い分けが目安になります。下半身もウインドパンツを1枚足すと安心です。
■ 7℃以下
ベース+ミドル+アウターのフル3層を想定します。プレー中もミドルレイヤーを脱がずに済むよう、伸縮性の高い薄手のミドルレイヤーを選んでおくと、防寒と可動域のバランスを取りやすくなります。首元・手先の防寒も本格的に検討したい気温帯です。
冬特有の注意点 — ウォームアップと怪我予防
最後に、ウェア選び以外で気をつけておきたい、冬ならではの注意点を挙げておきます。どれだけ良いウェアを揃えても、体そのものの準備を省略すると怪我のリスクは残ります。
気温が低いと筋肉や腱は温まりにくく、柔軟性も落ちています。夏場と同じ感覚でいきなり全力のサーブやダッシュを打つと、肉離れやアキレス腱の違和感につながりやすいとされています。動的ストレッチや軽いジョギングで体温を上げてから練習に入る習慣を、特に冬場は意識してください。
また、コート表面が朝晩は結露や霜で滑りやすくなっていることがあります。ウェアだけでなくシューズのグリップ状態も確認し、滑りやすいと感じたら無理に強い踏み込みをせず、足元の状態を確かめながらプレーすることをおすすめします。
練習後のクールダウンも、冬場は特に丁寧に行いたい工程です。急に体を冷やさず、軽いストレッチで筋肉をほぐしてから着替えることで、翌日以降の筋肉痛や体の張りを和らげやすくなるとされています。
水分補給も冬は忘れられがちです。汗をかいている実感が薄くても、実際には夏場と同程度、あるいはそれ以上に汗をかいていることがあります。喉の渇きを感じにくい季節だからこそ、休憩のたびに意識して水分を取るようにしてください。
冬場は日照時間も短くなるため、夕方以降の練習では視界の悪化にも注意が必要です。明るい色のウェアを選んでおくと、薄暗い時間帯でも周囲から視認されやすくなり、複数のコートが並ぶ施設では安全面でも一定のメリットがあります。
最後にもう一つ。冬場は防寒対策に気を取られて、日焼け止めなど夏場に当たり前にしていたケアを忘れてしまう人もいます。冬でも晴れた日の紫外線量は決して無視できないため、屋外コートでプレーする際は季節を問わず日焼け対策を続けることをおすすめします。
冬のあいだも、体調や気温の感じ方は少しずつ変化していきます。シーズン初めに決めたレイヤリングをそのまま最後まで通すのではなく、寒さへの慣れや気温の変化に合わせて、数週間に一度は組み合わせを見直す習慣を持っておくと、より快適に冬のテニスを続けられます。
体調がすぐれないときは無理をしない
寒い時期は体が温まるまでに時間がかかるため、体調がすぐれない日や、いつもよりウォームアップで体が硬いと感じる日は、無理に強度の高い練習をしないという判断も大切です。ウェアはあくまで補助であり、違和感を感じたらプレーを中断する判断を優先してください。
よくある質問
Q厚手のウェアを1枚着るのと、薄手を重ね着するのはどちらがいいですか?
A同じ保温性を確保するなら、薄手のアイテムを重ね着するほうがおすすめです。厚手1枚は生地の抵抗が大きく、テイクバックなどでスイングが窮屈になりやすい一方、薄手を重ねる方式は生地同士の伸縮でカバーしやすく、体温や運動強度に合わせて1枚ずつ脱ぎ着できる柔軟さもあります。
Qプレー中もアウター(ウインドブレーカー)を着たままでいいですか?
A体が温まった後は脱ぐことをおすすめします。アウターは風や外気を防ぐための層で、生地が厚く伸縮性も控えめなことが多いため、着たままだとスイングの可動域を狭めやすくなります。ウォームアップで体が温まったら脱ぎ、ベースレイヤー+ミドルレイヤーでプレーし、待ち時間に再び羽織るのが基本です。
Q発熱素材のウェアなら、待ち時間もずっと暖かいですか?
A発熱素材の多くは、汗などの水分を吸収する際に熱を生む仕組みのため、汗をかいていない状態では効果を実感しにくい場合があります。動いていない待ち時間の防寒には、発熱素材だけに頼らず、アウターを羽織る、ひざ掛けを使うといった対策を組み合わせるのが確実です。
Q下半身はレギンスとウインドパンツ、どちらを選べばいいですか?
Aどちらも選択肢になりますが、ベースレイヤーとして使うならレギンス(タイツ)、その上に羽織って風を防ぐならウインドパンツと考えると分かりやすいです。特にウインドパンツは股下にマチがあるかどうかで動きやすさが変わるため、大きく踏み込む動作が多い人はマチ入りのモデルを確認してください。
Q手袋をしたままプレーしても大丈夫ですか?
A厚手の手袋はグリップの感覚が変わりやすく、プレー中の着用にはあまり向きません。待ち時間用に指先が出るタイプの薄手グローブやハンドウォーマーを用意し、プレーに入る直前に外す使い方が現実的です。グリップの握り心地は購入前に確認しておくと安心です。
Q冬用のウェアは夏用と比べて価格が高いですか?
A起毛や発熱素材を使う分、同じカテゴリの夏用ウェアよりやや価格が上がる傾向はあります。ただしウインドパンツのように2,000円前後で揃えられるアイテムもあり、必ずしも高額な出費が必要というわけではありません。予算に応じて、まず気になる部位(上半身・下半身・待ち時間用アウター)から1点ずつ揃えていく方法でも十分です。
Q室内コートでも防寒レイヤリングは必要ですか?
A屋外ほどではありませんが、室内コートでも空調が効きにくい早朝・夜間や、窓際のコートでは気温が下がることがあります。ベースレイヤー+薄手のミドルレイヤー程度を用意しておき、待ち時間だけ羽織るものを別に持っておくと、屋外・室内どちらでも対応しやすくなります。
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